「いないいないばあ」に助けられた夜のこと

言の葉つれづれ

ふとした瞬間にもらった、こころのふれあい

会議で、ある人が発言したんです。
問題にちゃんと向き合って、メリットとデメリットも整理して。
なのに、上の人たちは陰で「あのうるさい奴」「めんどくさい奴」って言ってました。
結局、その意見はまともに議論されることもなく、上の人たちだけで決めて終わりました。

こんな組織にいたのかと思うと、悲しくなりました。
悲しいというより、自分がここにいる意味がわからなくなる感じです。

発言した人は「辞める」とまで言い出しました。
それでも誰も止めないし、陰口を言ってた人たちは、なんてことない顔でそこにいる。
この組織、腐ってるなと思いました。

気持ちが沈んだまま、たぶん暗い顔で歩いてたと思います。
そんな気分だったので、ちょっと贅沢して、その日の晩ごはんはケンタッキーにしました。

店で、ふと隣を見たら、1歳くらいの子がベビーカーに座ってて。
(親御さんもすぐそばにいました)
思わず「いないいないばあ」ってやっちゃったんです。
2、3回繰り返したら、笑ってくれて。
あの純粋な笑顔、もう天使かと思いました。

それだけで、心がふっと軽くなったんです。

問題は何も解決してないんですけどね。
辞めると言ってる人のフォローも、自分の身の振り方も、まだこれから考えないといけません。
それでも、あの子の笑顔のおかげで、少し落ち着いて考えられるようになった気がします。

もらってばかりの、ふれあいでした。

あの日のことを、カウンセラーとして振り返ってみると

ここからは、noteには書かなかった話です。
少し時間がたって、あの日のことをもう一度考えてみました。

人とのやりとりの中で、相手から受け取る反応のことを、私は「ふれあい」と呼んでいます。
ほめられる、笑いかけられる、名前を呼ばれる。
そういう、あたたかいものだけじゃないんです。
注意される、反論される、というのも、実はふれあいのひとつです。

いちばんこたえるのは「なかったこと」にされること

人って、ほめられないことより、無視されることのほうがつらいんですよね。
反対されたなら、まだ「ちゃんと聞いてもらえた」と思えます。
でも、あの会議で起きていたのは、そういうことではありませんでした。

陰口は、本人のいないところで交わされます。
本人に届くのは、何の反応もない、静けさだけ。
真剣に考えて出した意見が、なかったことにされる。
「辞める」という言葉が出てきたのは、わがままではなかったと思います。
ふれあいが、ばっさり切られてしまった反応だったのかなと。

そして、その場にいた私の心も、一緒にすり減っていたんだと思います。
自分に向けられた言葉じゃなくても、そういう空気って、ちゃんと吸い込んでしまうんですよね。

実は、先に差し出していたのは私のほうだった

noteでは「もらってばかり」と書きました。
でも、あとから思い返して、ちょっと気づいたことがあるんです。

あの「いないいないばあ」、最初にやったのは私なんですよね。
あの子は、それに笑って返してくれた。
ふれあいって、そうやって行ったり来たりするものなんだなと。

心がからっぽに近いときって、「誰か何かしてくれないかな」と待ってしまいがちです。
私もそうでした。
でもあの夜は、なぜか先に手が動いていました。
条件も、損得も、評価もない、ただのやりとり。
「役に立つかどうか」で見られ続けた一日の終わりだったから、余計にしみたのかもしれません。

大人同士だと、なかなかこうはいかないですよね。
だからこそ、とは言いたくないんですけど…
小さい子や、動物や、知らないお店の人とのちょっとしたやりとりに、救われることってあるなと思います。

もし今、同じような場所にいるなら

組織のことは、一人ではどうにもならないことが多いです。
私もまだ、答えは出ていません。
それでも、自分の手の届く範囲でできることは、少しだけあるのかなと思っています。

ひとつは、なかったことにされた人に、ひとこと返すこと。
「あの意見、私はわかりやすかったです」くらいで、たぶん十分です。
会議の結果は変わらなくても、その人にとっては「届いていた」という手ごたえになります。
これは、いま私自身が、どう伝えようか考えているところです。

もうひとつは、自分のすり減りに気づいてあげること。
疲れた日は、ちょっと贅沢なごはんでもいいし、知らない誰かに笑いかけてみるのでもいい。
返ってこなくても、別にいいんです。
自分から何かを差し出せた、ということ自体が、案外効くこともあります。

あの夜のケンタッキーは、正直ちょっと高くつきました。
でも、あの笑顔の分を考えたら、安かったかもしれません。

(画像:生成AI作成)

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